第24章 ただいまの後は…
人に何かを買い与えて貰うのは得意じゃない。
イベントの日でもないのに貰う理由はないし、何よりどう反応すれば良いかも分からない。
喜びを素直に表現出来るだけの言葉、表情が私にはないから。
「…それなら、付き合わない。晩御飯は作るから買い出し行ってくる。」
何を言われようと無視するつもりで立ち上がり、引き留められる前に家を出た。
すぐに、後ろから聞こえる足音。
多分、一人じゃない。
連れ戻されてやる気がないから、振り返らずに歩調を早めた。
「熊野。」
「りら、待って。」
後ろからの声は木葉さんと赤葦さんで、強要するような人達じゃなくて安心する。
追い付かれても強引に帰らせはしないだろうと思って足を止めた。
「何ですか。」
「俺も買い出しなら付き合うって。荷物持ちしてやっから。」
「りら、俺達に食費返したままだよ。俺が纏めて払って後で皆に請求するから。そういうの、やり辛いだろうし。」
要は2人ともついて来る、と。
連れ戻す目的じゃないなら拒否する理由はないから、一緒に買い物に行く事になった。