第24章 ただいまの後は…
その後、きとりちゃんの号令で昼まで自由時間となった。
部屋がある人は部屋へ、リビングに寝泊まりしてたらしい2人は自分の使っている布団の方へ行く。
もう朝だけど寝る前の挨拶をして私も部屋に帰った。
扉を開けて中に入ると、部屋に違和感。
換気の為なのか窓が開いている。
それを閉めると、壁に貼り付く影が目に入った。
夏の風物詩とも言われる、よく鳴く虫。
台所によく出る黒いアレより苦手で、近寄る事すら出来ない。
暴れるし、すぐ飛ぶし、ぶつかると固いし、何より五月蝿いから捕まえるとか無理だ。
誰かに取って貰おうと思ったけど、うちの同居人は虫に対して情けない態度を取る。
寝てたら悪いけど、リエーフ辺りに頼もうとリビングに戻った。
布団には入っていたけど、まだ寝ていなかった2人に近付く。
「どうした?」
「りら、俺と寝るか?」
私に気付いて声を掛けてくる2人。
ふざけた事を言ってるような気がしたけど、そんな場合じゃないから無視した。
「セミ…。」
「あぁ、明るくなってきたから五月蝿いな。寝れないんだったら、俺も起きとくけど。」
口からは単語しか出なくて、勘違いしたらしい木葉さんが気遣いを見せてくる。
違う、と首を振って表現し、来て貰おうと手招きした。
2人を伴って再び部屋へ。
私が指差した先、壁に貼り付いたままのそれを見て、2人は固まった。
「…無理無理!俺、都会っ子だから虫とか触れねーよ!」
早速、情けない事を言って部屋に入れすらしない木葉さん。
リエーフは私の肩を抱いて方向転換した。
「りら、あれ嫌だったら俺と寝よーぜ。窓開けておけば出てくだろ?」
それ、取れないって事だよね。
頼るんじゃなかった、と後悔した。