第24章 ただいまの後は…
木葉さんが潰れたからといって、飲み会がお開きになる事はない。
話も終わって、皆で酒を飲んでる空気はいつものもので落ち着く。
私はやっぱり、皆の中にいるのが好きなようだ。
それぞれが会話している姿を眺めながら、自然と膝に乗っている頭を撫でていた。
「りらと木葉がなんで付き合ってねぇのか分かんねーわ。マジで。」
「どーみてもカップルなんだよね。雰囲気が。りら、木葉クンだけ対応違うし。」
黒尾さんときとりちゃんが私達を見ている。
その言葉を、そっくりそのままお返ししたい。
返したところで、恋愛に関しては経験がない私が理解出来るとは思えないから言わないけど。
「…りら、私、明日までだから。」
「何が。」
反応しないから面白くなくなったようで、全く違う言葉が飛んできた。
意味が分からず眉を寄せる。
「こっちにいるの。折角の夏休み、アンタが行方不明だった所為で潰れたんだけど。」
「…ごめん。」
「悪いと思ってるなら、明日は一日付き合ってね。私のオアソビ。」
にっこり、と効果音が付きそうなくらいの笑顔に悪寒を感じた。
何か嫌な予感がする。
「何するの。」
「んー?お買い物。…何を買うかはヒミツ。」
「マジでやんのか。…俺、りらの趣味なんか知らねんだけど。」
「頑張ってネ。」
話の途中から黒尾さんが割り込んできて、予感が的中している事に気付いた。
また、私が対象にされている賭け事が開催されるのか。
止めても無駄なのは分かっていて、溜め息を吐いて諦めた。