第23章 仲直り
なんとかしないと、木兎さんのしょぼくれモードより面倒そうだな。
でも、なんでこんなに落ち込んでるんだ。
私が木兎さんや黒尾さんに絡まれてたら、落ち込むより先に威嚇しそうなのに。
さっきもこの2人とは言い合いとか、張り合ったりとかしてたくらいだ。
言い返されるのが怖いとか嫌っていうのは無いと思う。
木葉さんの事をじっと見て言葉を探していると、初めに座っていた時にはなかった筈の物が目に入った。
日本酒なんかを入れる、徳利とお猪口。
「…きとりちゃん。木葉さんに何飲ませた。」
飲ませた犯人と思わしき人物に笑顔を向ける。
勿論、機嫌が悪い方の作り笑顔。
「…う、ごめん。日本酒飲ませた。グイグイいくから、飲めるコなんだと思って。」
なんだか、言い訳が聞こえた気がするけど無視をした。
木葉さん、泣き上戸だな。
酔っ払ってるだけだ、コレ。
その証拠に、私が気付いたと同時くらいにテーブルに頭を打ち付けて落ちた木葉さんは眠ってしまった。
「黒尾さん、離して下さい。」
掴まれていた腕を見ると、あっさりと離してくれる。
「センパイ、退いてやれ。」
私がやりたい事はお見通しのようだ。
木葉さんの隣にいたその人が退いて、空いたスペースに移動する。
木葉さんの肩を抱いて引き寄せるようにして、ゆっくりと頭をテーブルから膝の上に降ろした。
所謂…。
「木葉ばっかズリー!俺も膝枕!」
そう、膝枕である。
テーブルに突っ伏したままだと、体を痛めるだろうからしているだけだ。
普通に起きている木兎さんにしてやる必要性はない。
「騒がないで下さい。」
酔ったままの木葉さんに目覚められたら困る。
作り笑顔で木兎さんを撃退して、寝顔を眺めていた。