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第2章 明くる日


黒尾さんの方は一瞬何か考えるように眉を寄せている。

「…お前が作れるモンでいーぜ。」

多分、本当に無かった事にしていいか迷ったんだろう。
私があまりにもあっさりしてて、拍子抜けしたのもあるかも知れない。

「私が作れる物だと幅が広すぎるので、ハンバーグでも作ります。買い物行ってきますね。」
「俺、荷物持ちするわ。」

テーブルに置かれていたお金を手に取って出掛けようとすると、すぐ後ろから黒尾さんが着いてきた。

「必要ありません。」
「俺が行きたいんだよ。…木兎は留守番な。いってきます。」
「…いってきます。」
「おう!いってらー。」

断っても聞いてはくれないようだ。
残った人に声を掛けて二人で家を出ていった。

スーパーまでの道を歩く。
足の長さが違うのに追い掛けないで済むのはきっと黒尾さんが私に合わせているからだ。

「…さっきは悪かった。」
「気にしてません。無かった事しようとしたの、気付いてなかったんですか。」
「そりゃ気付いたけど、な。お前、俺等に気ぃ使いスギじゃね?」
「別に使ってません。…慣れてますから。覗かれたり、脱がされたり、触られたり。その先も。」
「…は?」

淡々と会話しながら歩いていた黒尾さんが立ち止まる。

「早くしないと、黒尾さん学校に行けなくなりますよ。」

私は足を止めずにそのまま歩き続けた。
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