第23章 仲直り
この話は終わりにするとしても、だ。
続きをどう話せば良いか分からなくなってしまった。
「…欲情して間違い起こしそうだったから避けたのは分かった。それと家出の理由関係あんの?」
私に話の主導権を渡していても埒があかないと諦めたのか、きとりちゃんが質問をしてきた。
「…避けていたから、皆さんに不愉快な思いをさせて、嫌われたかと思ってました。だから、言われた事に従えば許して貰えると思って、実家に帰ろうとしたんです。
でも、帰れなくて。夜中に家を出た言い訳も思い浮かばなかったから、そのまま家出しました。」
質問されたなら、考えて話をするよりも随分と簡単なもので、すぐに答える。
皆に注目されていて、見られるのが苦手だから下を向いた。
「りらって、面倒だよね。僕達が君を嫌いだったら、わざわざ出ていった方がいいか、なんて聞かないの分からない?嫌だったら、勝手に出ていってサヨーナラに決まってるデショ。こんな簡単な事、言わなきゃ分からないの?」
「…すみません。」
聞こえてきた月島くんの声が刺さる。
咄嗟に返したのは謝る言葉だけで、溜め息が聞こえた。
「…赤葦、ちょっと席変わって。私はあっちで木兎と木葉クン慰め隊やってくるわ。」
「なんスか、ソレ。」
「あの空気重い中にクロだけ放置は可哀想だし。…りらの慰め隊は年下組に任せる。」
慰め隊って、なんて無理矢理違う方向へ思考を転換して、少しでも空気を変えようとするが、それも遅く。
きとりちゃんと入れ替わった赤葦さんが隣に座った。