第23章 仲直り
言い合いの根元は私だから仕方ないけど、説明とかを任せるには頼りない2人だ。
木兎さんに手招きされたけど行きたくない。
嫌だ、と言っても粘りそうな人達だから効果的に引かせる方法はないものか。
キツい事を言っても効き目が薄そうだし。
「…自分で。自分の口で話しますから、大丈夫です。」
考えて出した答え。
始めから、ちゃんと皆と話をするつもりでこの場にいた。
苦手だとか、そんな事をいつまでも言っていられない。
私の次の言葉を待つように場が静まりかえった。
順序通りに話すなら避けた理由からだ。
発情して変な事を口走りそうだったから避けました、なんて言えない。
どうすれば良いんだろうか。
「人間に発情期ってあるんですか。」
やっと出せたのが、そんな疑問で。
周りは、は、とか、え、とか一つの音だけを発している。
何の脈絡もなく、こんな発言をしたらそうなるのは当たり前か。
「猫は年に2回くらいあるぞ。」
「…リエーフ、黙れ。猫の事は聞いてねぇよ。人間は万年、だろ?」
「人間だって動物じゃないすか?」
「あのな、年中出来るのは人間ぐらいのもんだろ。」
リエーフが変わらず空気を読まず声を出す。
説明する黒尾さんが呆れていた。
「…で、その発情期とりらの家出がどう関係あるんだ?」
そのまま脱線、とはならず、こちらを向いた黒尾さん。
しっかり、話を戻してきた。
「…家出、というか。皆さんを避けていたのには関係ありますけど。必要無さそうなので割愛します。」
「そこまで言っておいて隠されると逆に気になるんだケド。」
皆が知りたいのは家出の理由なら、こちらは別に言わなくて良いと判断して省略しようとした。
別に話したい内容じゃないし。
まぁ、見逃してくれないとは思ってたけど。
月島くんの言葉は皆の気持ちを代弁したようで。
答えを待つような視線が集まっていた。