第22章 家出

他にも気になっている事はあるけど、まずはコレ。
口を開けば言い合いするレベルで相性の悪い２人が一緒に行動している理由が知りたい。

「お前、俺とか赤葦、ツッキーだったら逃げね？…まぁ、木兎が余程ヘタか変態的で愛想尽かしたか、って可能性もあったけどな。家出した理由、俺等だろ。」
「…ちょ、マテ。話が見えねぇよ。木兎がヘタとか、なんだよ？」

黒尾さんが答えてくれたけど木葉さんに口を挟まれて、否定も肯定も出来なかった。
しかもちゃんとした回答になっていない気がする。

「…コイツ、俺等と喧嘩っつか険悪になってヤケになったのか、木兎とヤったんだよ。大方、ソレで気まずくなったから出てったんだろ。」

私の疑問を解決するどころじゃなくなってきていた。
木兎さん、未遂だって話してないのか。

「いや。熊野はそんな軽いコじゃねーだろ。うん。ヤってないよな？しかも相手が木兎とか、ナイナイナイ。」
「…コイツの貞操観念って破綻してんぞ。」
「いや、ナイから。熊野がビッチとかアリエナイよ、な？」
「この容姿で、あんま拒否もしない女が今まで誰にも食われてねぇ方がおかしくね？」

木葉さんは私に問い掛けているようで、自分に言い聞かせているような否定を口にしだした。
私に夢を見すぎである。
完全に混乱状態だ。
それにトドメを刺すような事を黒尾さんが言っている。
人の嫌な部分をあっさりバラしやがって。
早めに未遂だと言おうと思ったけど、話し続けている２人に口を挟む事など出来ない。

「…じゃ、その拒否もしない女に拒否られた俺ってなんなんだよ？よっぽどヘタクソとか思われたワケ？」
「それは木葉が、適当な気持ちで出来る相手じゃねぇからだよ。お前、コイツにとって特別なの。」
「…それを言ってしまったら、木兎さんは適当で相手出来る人になってしまいますね。未遂なのでシてませんけど。」

言い合いを聞いていると黒尾さんが爆弾発言を落とした。
特別なのは間違いじゃないけど、本人目の前にして言われるのは恥ずかしい。
話を止める為に割り込んで、ついでに勘違いされている行為は無かったと否定した。