第2章 明くる日
そういえば、シャワーも最近浴びてなかったっけ。
髪も、ネットカフェの洗面所で洗ったのが最後だった気がする。
服は着替えてるし、コインランドリーで洗濯してるから臭くはないと思うけど。
時間もあるし、シャワーでも借りようか。
借りるって表現はおかしいかも知れないな。
着替えを持って部屋を出て、風呂場へと足を運んだ。
久し振りだと思っても癖なのか、それほどゆっくりは出来ず髪と体を洗うとすぐに風呂場から出る。
「…あ。」
風呂場から続く洗面所に人がいた。
木兎さんだ。
シャワーの水音とかで誰か入ってるって気付かないものかな。
まぁ私も気付かず開けたから同罪か。
扉が開く音と、私が声を出した事でこちらを向いた。
「…ぎゃーっ!」
悲鳴をあげたいのはこちらです、なんて突っ込む前に廊下を走る足音が聞こえてくる。
「木兎、どうしたぁ?」
勢い良く廊下側の出入り口から顔を出した黒尾さん。
木兎さんと私を交互に見て固まった。
「…ちょ!おまっ、早くタオル巻くかなんかしろ!」
二人の様子を伺っていたから、体を隠すのを忘れていたようで。
指摘されてから思い出したようにタオルを取って体に巻いた。
でも、このままじゃ髪すら拭く事も出来ない。
「…取り合えず出ていって貰えませんかね。」
「…お、おぅ。木兎、行くぞ。」
この場から離れて貰えるよう頼むと、未だに固まっていた木兎さんの腕を掴んで洗面所から出ていった。