• テキストサイズ

【HQ】sharing.

第22章 家出


家出をしてから、二週間くらい経った。

前に勤めていた店を追い出された時も、住む家も無く一人でずっと過ごしていたから平気だ。
今は夏だし、外で寝る事も出来るから寧ろマシかもしれない。
汗をかく季節だから、着替えを多く買わなきゃならなかった事だけが辛い。

お金の面の心配もあるし、外で夜を過ごそうと広めの公園に入る。
ベンチはすぐに見つかったけど、ホームレス対策の肘掛けが設置されていて横になる事は出来なかった。

まぁ、背凭れはあるから眠れるし問題ない。

腰を下ろし、荷物を両腕で抱えて目を閉じた。



「……うん。そう、コンビニの前の公園。…じゃ。」

眠りが浅く、近くで喋る声で目が覚める。
知らない声だし、待ち合わせかと思って無視をしたけど視線を感じた。

まぁ、若い女のホームレスとか珍しいよな。
酔っ払って寝てるように見えるのかも知れないし、気になっても仕方ない。

分かっていても、見られている状況は気分も良くないし、場所を変えようと立ち上がった。
その人の隣を通り過ぎ、少し早足で歩く。
後ろから溜め息が聞こえて、自分に続く足音がした。

引き止めるような声掛けがある訳でもなく、知らない人が後ろを歩いているとか。
事件でも起こりそうな感じだな。

もし、何かあって、ニュースにでもなったら皆は驚くだろうか。
少しは、悲しんでくれるだろうか。

こんな時に皆を思い出すなんて、自分から姿を消して逃げてる私がやる事じゃない。

思考を飛ばすように首を振って出入口に急いだ。
通りに出れば、公園内を歩き回るよりは安全だと思う。

出入口が見えた時、距離を開こうと走り始めた。
後ろを確認するように顔を横に向けて、ついてきていた人を見る。
合わせて走る訳でもなく、こちらに向けられていた視線は、私より前に向けられていて…。

それに気付いた時には何かにぶつかっていた。
/ 577ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp