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第22章 家出


‐木葉side‐

今夜は深夜勤務だ。
夕方まで寝てはいたが、やっぱ人間の体は夜中に起きとくように出来てねぇらしい。
休憩時間は仮眠でも取るか…。
いや、でも熊野と少し電話してぇな…。
昨日は、何故か出なかったし折り返しもねぇから心配だ。

取り出したスマホ。
ランプが光ってる。
熊野か、って期待したが、相手は木兎だった。
わざわざ留守電まで残してやがる。
面倒臭ェけど、放置したら鬼電くんだろうな。

息を吐いてメッセージを聞いた瞬間に、分かった。

熊野に、何かあった事が。

じゃなきゃ、木兎のスマホ使ってまで赤葦が連絡してくる訳ねぇんだよ。

慌てて折り返し掛ける。

『…すみません。木葉さん、お仕事中でしたか?』

すぐに通話になった、電話口からは赤葦の声。
その後ろでは、何か壊れるようなデケェ音がしてたが、取り合えず無視。

「今は休憩中。何?熊野に何かあった?」

休憩時間は長くない。
さっさと本題を出させようと、こっちから熊野の名前を出す。

『…ちっ。…やっぱり、知りませんか。』

おい、今舌打ち聞こえたぞ。
って、それはどうでもいい。
熊野に何かあったの、確定した今は何があったか知りたい。

『木葉さん、昨日はりらと電話しましたか。』
「いや、出なかった。時間遅かったから寝てんのかとも思ったが、折り返しもナシ。」
『…使えない人だな…。』

心の声が漏れてますよ、赤葦クン!

「…熊野に何かあった?」

突っ込みを飲み込んで、もう一度問い掛ける。
暫し、無言。
後ろの音は収まったようで、耳鳴りがしそうなくらい静か。

やっと、聞こえたのは溜め息と。

『りらが、家出しました。』

眠気もぶっ飛ぶぐらい衝撃の言葉だった。
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