第22章 家出
‐月島side‐
赤葦さんの姿を、ただ見守るしか出来ない。
長くコールしても出ないのか、眉間に皺が寄ってきていた。
「…赤葦です。至急の用事なので、聞いたら連絡下さい。」
結局、留守電だったみたいで、メッセージを吹き込んだだけで終わっていた。
「もし、りらが一緒に居るなら連絡来ないでしょうね。」
溜め息混じりに言って、木兎さんにスマホを戻している。
それには、同感。
でも、せめて木葉さんと繋がっていてくれれば、あの人の勤め先に押し掛けるなり出来る。
親に会った方がりらの為になる、と思ったのは本当だよ。
だけど、僕達はやり方を間違えた。
ただでさえ、嫌悪感を隠しすら出来ない程の相手…妹の味方なんかしちゃいけなかった。
分かってるから、帰ってきてよ。
君が居ないと、落ち着かない。
「…りらちゃん帰って来なかったら、お前等のせーだからな!」
こっちの落ち込んだ気持ちに、追い討ちをかけるデカイ声。
「うっせーな!てめぇだって、気軽にアイツに手ェ出しに行ったろ?案外、お前が下手過ぎて愛想尽かしたんじゃねーの?」
言い返したのは黒尾さんだ。
そのまま、殴り合いでも始まりそうな空気になったけど。
止める気力がない。
面倒臭いとか、そんなんじゃなくて、本当に動けなかったんだ。