第22章 家出
‐赤葦side‐
りらが家出した、と確定したのは夜中。
元々、彼女は単独行動をしてしまう人だったから、その時間までは帰ってくるのを期待していた。
「…誰か、りらの携帯知らないんですか?」
リビングに集まっている、同居人の面々を見回す。
全員が全員、首を振るだけだった。
りらは基本的に家に居たから、わざわざ携帯で連絡を取る必要がなかった。
外から彼女に連絡を取りたければ固定電話に掛ければ、彼女が出たから。
今は、彼女の方が外にいる。
連絡の取りようがない。
なら、彼女の行きそうな場所は…。
「木兎、お前、木葉の連絡先知ってるか?」
思考を遮ったのは黒尾さんの声。
りらの性格上、木兎さんと関係してしまった後に木葉さんの所に行くとは思えない。
だけど、連絡する価値はある。
木葉さんは、確実にりらの携帯番号を知っている。
「知ってっけど、出るかー?木葉、夜のショーバイだろ?」
「言い方!」
ふざけたような木兎さんと、突っ込みを入れてる黒尾さん。
余裕がある態度に腹が立って、木兎さんのスマホを奪い取る。
「木兎さんじゃ、上手く聞き出せないでしょうから。俺が話します。」
すでに表示されていた画面をタップして、コール音が聞こえるスマホを耳に押し当てた。