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第22章 家出


木兎さんの居た熱が冷めた部屋で、ぐるぐると回る思考。

結果的には、関係を持った訳じゃない。
それだけは、本当に良かったと思っている。

信用しないと、ただの同居人に戻るのだと、そう決めたのに皆に嫌われるのは怖かった。
関係を持ってしまったら、それこそ取り返しのつかない事になったと思う。

謝罪も聞かずに逃げたのに、それでもまだ追い掛けて欲しがってる。
そんな、構ってちゃんな行動をしている自分が嫌だ。
まるっきり、子どもみたいだ。

私と気まずくなった3人は、もしかしたら出ていってしまうかもしれない。
そうなったら、木兎さんだって出ていくだろう。
負担は今まで以上になってしまうし、私もバイトしなきゃ生活が成り立たなくなってしまうから、食事も満足に用意出来ない。

一度マイナスに傾いた思考が戻る事はなく、どんどんと深みに嵌まる。

私が我慢すれば良いのだ。
正しい、とは思っているのだしそれに従えばいい。

実家に一度帰ろう。

思ったらすぐに行動しないと、気持ちが揺らいでしまいそうで、財布と携帯だけを持って家から出た。
リビングの前を通った時、話し声がしたから誰かいたのだろうけど、声を掛ける勇気はなかった。
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