第21章 発情期
‐木兎side‐
りらちゃんが、あんな怒るトコは初めて見た。
普段、俺の事をバカだバカだって言うクセに、お前等のがバカなんじゃねーの?
ま、俺には都合いーからフォローしてやんねーけど!
これで、りらちゃんが俺だけのもんになる。
どうやって謝るか話し合ってる奴等を置いて、りらちゃんの部屋に行く。
いくら俺だって、ホンノーっての?で、りらちゃんが一緒にいたいって言った意味くらい分かってる。
アイツ等だと思われて、ケーカイされても困るから扉をノックした。
「りらちゃん、入っていいか?」
「…どうぞ。」
すぐに返事があった。
俺だって分かった上で部屋に入れる。
これ、もう完全に食っていいヤツだろ?
「ホントに良いのか?」
ダメって言っても食うけどな。
近付いたとほぼ同時に肩を押すと、簡単にベッドの上に倒れた。
「…木兎さん、私の事…スキですか?」
りらちゃんの口から出た、良い、でも、ダメ、でもない言葉。
「さっき言ったからいーだろ。」
「いつですか。」
「…俺が好きなの、りらちゃんだから。」
「…あぁ。」
なんとなく、本当に、なんとなく。
完全な告白はしちゃいけない気がした。
だから、さっき妹ちゃんと話した時のセリフを返す。
りらちゃんの目に俺が映ってる。
でも、見てない。
目の前にいんのは俺なのに、りらちゃんは‘俺’を見てない。
俺を想って、ない。
あーあ、気付いちった。
りらちゃんと、体の関係だけ持ったって、俺のもんにはなんねーコト。
ヤっちまおうって思ってた気持ちは萎えて、ただ彼女を抱き締めるしか出来なかった。