第21章 発情期
これは、私の最大限の意思表示。
もう、この人達にご飯は作らない。
ただの同居人。
食事でもなんでも勝手にやってくれ。
きとりちゃんがいた頃からの約束通り、水道光熱費さえ払ってくれればいい。
無理に親しくするつもりはない。
私には、木兎さんがいれば充分だ。
意味に気付いたのか、木兎さん以外の3人が慌てていた。
口々に謝罪を述べている気がするけど、ノイズが混じったかのように私の耳には届かない。
「食事なんか作らなくても、私が来るまでの生活に戻るだけですよ。問題ないでしょう。」
今は誰が何を言っても、ちゃんと聞ける気なんてしないから部屋に戻ろうと立ち上がった。
「皆の方が正しい、と思う。虐待とか、そんな事をしてきた親じゃないから、何かあれば私は会わなかった事を後悔する。
でも、それは自分で選んだ道だから。正しさを押し付ける事ばかりが本当に‘正しい’とは思えない。」
伝えるつもりはなく、ただの独り言のように呟いてリビングから出る。
後ろから誰かついてきている気配があったけど、振り返らずに部屋に入り、ベッドに座った。