第21章 発情期
すぐに出ていこうとした妹を何故か、赤葦さんが手で制止している。
「今日はもう遅いから、泊まっていくと良いよ。りら、それくらいなら大丈夫だよね?」
「はぁ、まぁ…。」
確かに、こんな時間に若い女を1人で外に出すのは危険だ。
頷いて了承を示した。
「…って言うか、君って家出中デショ。何処に帰る気だったんですかぁ?」
「あぁ、そんな事言ってたな。りら、嫌かもしんないけど、明日はちゃんと帰るか見張っとけよ。俺等じゃ、お前の実家分かんねぇし。」
月島くんが余計な事を思い出してくれた所為で、火の粉がこちらに降り掛かってくる。
私が妹を嫌がっているのは分かっていると思う。
それなのに、なんで向こうの味方のような真似をするんだろうか。
私がいない数分の間に何があった。
いや、そもそも皆が私の味方であってくれる保証なんて始めからない。
私はただの家主の代わりで、それ以上でも以下でもない。
ここの所は皆を避けて不愉快にもさせていた。
そんな状態だったのに、味方だと思い込むなんて勘違いも甚だしい。
目の前にある現実をやっと飲み込めた。