第21章 発情期
妹は人を苛々させる天才だから少し心配していた。
でも、意外にも空気は悪くなっておらず安心する。
妹にアルバムを渡すと、黙ったまま中身を確認して写真を抜いていく。
数分後、床には数十枚の写真。
全て1人で写っているものが選ばれていて、その人物は私か妹。
「仕分けゲーム、って事で。私と姉ちゃんを分けて下さい。…姉ちゃん、教えちゃダメだよ。はい、スタート。」
釘を指すように私に言ってから、始まりを示すように手を叩いている。
その音に反応して皆は床の写真を手に取った。
普段の写真は表情で判別付くと思う。
難しいのは、学校行事や式典のもの。
真面目な顔をしていると、他人には厳しい。
まぁ、最難関は…違う高校に行ったから制服交換したい、なんて言われて梟谷の制服を貸した時の写真だな。
しかも、私の真似して無表情な状態で撮ったものを出している。
仕分ける様子を眺めていると、その写真が出てきた。
運が悪いのか、それを手にしたのは月島くん。
一番、こういう事に興味がなさそうな人だ。
「…梟谷の制服着てるケド妹、デショ。」
迷う事なく、妹の写真の束の方に置いた。
それを間違わないなら、大丈夫そうだ。
一気に安心して、仕分けする皆を見守った。
数分もしない内に仕分けの終わった写真が妹の目の前に置かれる。
皆、間違わずに一目見ただけで判別してくれた。
「一枚も間違わないとか、ホント腹立つ。帰る!」
仕分ける様子を見ていたから確認の必要はなかったんだろう。
苛立った様子で妹が立ち上がった。