第21章 発情期
アルバムがしまわれているきとりちゃんの部屋だから、入るのは気が引けたけど背に腹はかえられない。
ゲームに勝たないと、あのコと再び一緒に暮らさなきゃならないんだ。
「…りらちゃん。」
「何ですか。」
「あのコ、悪いコじゃねぇと思うぞ。」
「…は?」
本棚を見ていると後ろから声。
予想もしなかった話に眉を寄せた。
「ま、俺のカンだから気にすんな。」
すぐに話を終了させられてしまい、理由を問う事は出来ない。
木兎さんといるのに無言、なんて不思議な状況でアルバムを探した。
すぐに見付かったアルバムの棚。
何冊か取り出して中身を確認する。
きとりちゃんと、その家族…今は亡き伯父さん達の写真だけのアルバム。
親戚の集まりの時のアルバム。
私の家族のアルバム。
伯父さんは、写真が好きだった。
何かしらあると、カメラマン代わりに呼ばれて、こうやって細かく分けたアルバム作ってくれたっけ。
少し、思い出して目の奥が熱くなる。
まぁ、泣いている訳にはいかないし、私の家族のアルバムは見付かったから他のは棚に戻した。
「見付かったかー?」
「はい。」
「じゃ、俺が持つぜ!」
後ろからの声に振り返る。
一応でも荷物持ち名目で一緒に来たのだから、とアルバムを渡してリビングに戻った。