第2章 明くる日
「鍵、今日作ってくるから。…後、今夜はアンタの正式な紹介と歓迎会やるから用意宜しく。」
きとりちゃんの声に反応してリビング側を覗くと、テーブルにお金が置かれている。
「歓迎される私が用意するんだ…。まぁ、いいけど。」
呆れたような声を出して返事をすると、納得した顔をして出ていった。
「黒尾さん、出掛けなくて良いんですか?」
残った人達の予定が気になり問い掛ける。
用意している間、周りをうろちょろされたら迷惑だ。
「俺は昼から学校行ってくるわ。」
「お昼食べていきます?」
「お。作ってくれんの?」
「はい。」
放ったらまたコンビニ弁当で済ませそうだし、昼からいないなら用意する余裕はあるだろう。
「木兎さんは?」
「俺も食う。今日はなんもねぇし、どっか行くか?」
一番うろちょろしそうな人が在宅だと分かると、聞こえないよう小さく舌打ちした。
いや、歓迎会するから準備をしてくれって言われたの聞いてただろ。
どっかに出掛けている暇はないって。
なんだか、苛々する人だ。
あまり関わらないよう片付けに集中するフリをして、返答はしなかった。