第2章 明くる日
新たに二つ作った物を乗せた皿を持ってリビングに戻ると人数が減っていた。
赤葦さんと月島さんがいない。
「あの二人ならもう出たよ。帰りは夜じゃない?」
食事を終えたきとりちゃんが私の心を読んだかのように話し掛けてきた。
「そう。」
別に興味もなかったので、一言だけ返してテーブルに皿を置く。
その私の手をきとりちゃんが見ていた。
「りらも落書きされてる。」
ニヤニヤしながら手の甲を指先でつつかれる。
そこには、昨夜書かれた顔が半分になった猫。
「賭けは私側の勝ち、ね。」
「…はいはい。やりますよ。」
私達のやり取りを黒尾さんは微笑ましそうに見ている。
「賭けってなんだ?」
木兎さんは分かっていないようで、フレンチトーストを口に頬張りながら聞いてきた。
そう言えば、この人は賭けの話を持ち出した時にはすでに飲んでて聞いてなかったよね。
「私がココに住みますよって話です。」
「へ?昨日からもう住んでんじゃねぇの?」
「…リビングに寝泊まりする住人いないですよ。」
ふと、部屋を与えられてない事を思い出してきとりちゃんの方を向いた。
「アンタ、ゲストルーム分かるよね?2階の。ベッドあるし、ソコ使って。」
「了解。」
頷いて答えると片付けをする為にキッチン側に回り込んだ。