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第21章 発情期


こういう時は空気読まないで発言して欲しいんだけど。
主に木兎さん辺り。

「ね、その手を繋いでるのが姉ちゃんの彼氏?」

一番、空気を読まないのは妹だった。
簡単に話を変えて興味深そうに皆を見回している。
言われて思い出したように掴まれていた手を振り払った。

「違う。」
「えー。じゃあ、どれが彼氏?」

アンタの頭の中では男女が揃ってれば絶対にカップル成立してるんですか。
しかも、どれって。
人を物扱いか。
呆れてものも言えないとは正にこんな感じだろう。

「人に対する口のきき方を覚えろ。俺達は物じゃねぇよ。」
「…イターイ。女の子の頭叩かないでよ。このトサカ頭!」

突っ込んだのは妹の隣にいた黒尾さん。
軽く頭を叩いたのが見えた。

私と同じ特徴を捉えた言い方は、やっぱり血の繋がりを隠しきれない。
性格は似ても似つかないんだけど。

前に私がトサカ発言をした時は赤葦さんが笑ってくれたけど、流石に今の状況じゃ笑えないだろうな。
そんな事を思いながら、その人を見ると口元を手で隠していた。
その横では月島くんまで同じようにしていて、この人達のツボはよく分からないと思う。

「…黒尾さんの頭ってセットなんですかね。」
「高校の時からあんなだけど、アレ寝癖らしいぞ。」
「「…ぶっ!」」

緊張した空気をなんとか壊そうと、あえて空気を読まずに発言した。
木兎さんが反応して答えてくれる。
思惑通り、2人が吹き出すようにして笑い出して場は少し和んだ。
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