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第19章 失敗


‐赤葦side‐

りら自身が、あの人を過去形にしていたから、大丈夫だと思っていた。
なんて、言い訳だ。
今朝、止めなかった事を後悔したって遅いのは分かっている。

りらは鈍いから、木葉さんの気持ちが分からなくて、傷付いているのかも知れない。
周りから見たら、あそこまで分かりやすく彼氏に立候補した人間はいないと言うのに。

まだ、りらがそれに気付いていない内に奪ってしまわないと。

そう、思った時には体が動いていて。
冷静さを欠いた行動をしてしまった自分を嫌悪した。

木兎さんがいるというのに、りらに手を出そうとしてしまった。

これでは、何の為に今まで平等発言をしてきたか分からない。
周りを牽制する為だったのに、自分が手を出す場面を人に見せてどうする。
その所為で、りらは木兎さんの腕の中だ。
腹立たしい。

「…それより、木兎さん腕を解放して下さい。」
「りらちゃん放したらお前何かすんだろ?」
「アンタの力で抱き締めてたらりらが潰れます。」
「…あ。」

それは、いつまでも見ていたい光景じゃない。
自分が苛々するのだと発言する事無く、りらから離れさせる事に成功した。
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