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第19章 失敗


料理から食べ物に話を持っていって、木兎さんが興味を持ち始めた時に、作りましょうか、とか私に言わせたかったんだろうと思う。
今更気付いても遅く、会話は終了になっていた。

「…木兎さん、おつまみ出しましょうか?」
「いらねっ!」

なんとか声を掛けてみたけど、ふいっと顔を逸らされる。
溜め息を吐いて、どうにかしてくれ、とばかりに赤葦さんを見た。
同じように息を吐いて、立ち上がる赤葦さん。
テーブルに手を付き、体を乗り出して顔を近付けてくる。

あ、これはキスされるな。
別に構わないから避けはしないけど、なんだかな。
なんで、この人達は簡単にはこういう事をしようとするんだろうか。
私の考え方どうこう言えなくないか、皆も。

そんな事を考えていると、突然視界が横にスライドした。

「あ、あ、あかーし!傷心のりらちゃんに何やってんだよ!」

慌てたような、怒っているような木兎さんの声。
横を見ると、驚くくらい近い位置に顔。
腰に腕を回されて抱き寄せられていた。
体が反射的に動いて、椅子の端に手を付いていたから辛うじて椅子から落ちてはいない。

「別に何もしてないですよ。」
「する気だったろーが!」

私を守るように抱き締めてくれるのは有り難いけど、怒りもあるのか力が強くて痛い。
抜け出そうにも赤葦さんと喋っていて、声は掛けられそうになかった。
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