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第19章 失敗


近くの焼き肉店は食べ放題、飲み放題のやっている店。
木兎さんは大量に食べるし、私はアルコールを大量に摂るから丁度良い。
月島くん以外にとっては。

案の定、時間内一杯まで食べ続けた木兎さんと、飲み続けた私。
すっかり呆れたのか、見ているだけで胸焼けを起こしたのか、帰る頃には月島くんだけ疲れていた。

「ただいま戻りました。」

定番の挨拶をして、三人で家の中に入ると二人は各自の部屋に戻っていく。
リビングに明かりが点いていたから、部屋には戻らずにそちらに向かった。

「おかえり。皆でどこ行ったの?」
「焼き肉を食べに。」
「…木兎さんに付き合わされた?」
「いえ、言い出したのは私です。」

リビングにいた赤葦さんはテーブルにレポート用紙と教科書らしい物を広げている。
邪魔をしたかと思ったけど、普通に会話をしてくれたので向かい側に座った。

「りらがそんな事を言い出すなんて珍しいね。」
「ご飯作れなくなったのは私に原因がありますから。」

怪我をしている手を見るように視線を落とす。
赤葦さんの方は自分の教材らしい物を見ていて気付いていないようだ。

「だから、木兎さんのご機嫌とり?りらは飲むから元が取れるだろうけど、月島は辛かっただろうね。」
「ははっ…。」

まるで、さっきまでの様子を見ていたかのような口振りに乾いた笑い声だけで誤魔化す。

赤葦さんは、ずっと下を向いたまま会話を続けていて、やっぱり邪魔なんじゃないだろうか、と席を外そうと立ち上がった。
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