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第19章 失敗


月島くんも支えきれず、三人揃って転ぶ。

「…く、るし。りら、退いて。」
「ぼく、と…さん。退いて下さ、い。」

下にいる月島くんがもがいていた。
でも、一番上になった人が退かないと私だって月島くんから降りられない。

「お、おう…。」

まさか転ぶとは思っていなかったのか、木兎さんは明らかに動揺しながら私の上から退く。

自分の体重と勢いというものを考えて頂きたい。

溜め息を吐きながら自分も月島くんから離れて立ち上がり、手を差し出した。
手を掴んで立った月島くんは怒っている。
軽蔑したような顔で木兎さんを見ていた。
折角、焼き肉という餌でしょぼくれモードを防いでいるのだから、ここでまた落ち込まれたくはない。

「月島くん、抑えて。木兎さん、しょぼくれたら面倒。」

月島くんの手を引っ張り、小さな声で告げると分かってくれたようで、嫌な顔は止めてくれた。

「…で、なんで焼き肉なの?」
「包丁で怪我しちゃって、料理出来なくなって。」

絆創膏が巻かれた手を見せるように顔の横まで持ってくる。

「りらが料理で失敗?珍しい。明日は雪じゃない?」
「せめて雨って言って。夏だから雪は本当に有り得ない。」
「それくらいの事でしょ。まぁ、気が散ってたんだろうケド。木葉さん関連で。」

いつもの嫌味に言い返すと、いきなり確信をつかれて黙った。
視線を外して会話を続けないようにすると、月島くんが背を向ける。

「今日は外食で焼き肉でしょ。早くしないと、木兎さんが拗ねるよ。」

話を食事の方に戻してさっさと先に出ていった。
続いて木兎さんも行ってしまい、最後になった私は電気を消して外に出る。
玄関前で待っていた二人と並び、目的地へと向かった。
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