第19章 失敗
木葉さんの所から家に帰って来ると、リビングには明かりが点いていた。
玄関の靴で在宅の人を確認すると、朝の話からは予想が出来ない人達で戸惑う。
だからといって、玄関を開けた音は聞こえているだろうし、顔を出さずに部屋に直行も変だと思われるだろう。
小さく息を吐いてリビングに入った。
「おー。りらちゃん、早かったな。」
「…オカエリ。」
私を見るなり手を振って迎えてくれた木兎さんと、そっぽを向いたまま声だけ発した黒尾さんがいる。
飲み会やバイトでいない筈じゃなかったのか、貴方達。
予想外に早く帰れたから、夕食を作る時間はある訳で。
黒尾さんはご機嫌斜めだから食べるか分からないけど、木兎さんは欲しがるだろうからキッチンに入った。
「晩ごはん、作れるので食べますか?」
「食う!」
「俺はもうちょいしたらバイトだから、いらね。」
「了解しました。赤葦さんと月島くんの予定、確認して貰っていいですか?」
冷蔵庫の中を確認しながら、カウンターの外側と会話する。
黒尾さんも不機嫌なりに返事はしてくれているから、無理にご機嫌とりする必要はなさそうだ。
食材を出して調理を始める。
一番落ち着く、普段通りの作業の筈だった。