第18章 オトモダチ、から
電車に乗り込み家路に着く。
まだ空いている車内の静けさ、移動中の暇な時間。
考えるのはさっきの事。
わざと、期待させてしまおうと自分からキスをした。
思えば、自分からキスしたいと感じたのも、自分からキスしたのも、初めてだ。
つい、さっきの出来事。
まだ鮮明に感触も覚えている。
唇が熱い。
嫌々じゃない、自分もしたいと思えたキスは、それだけでこんなにも余韻の残るものなのか。
それとも、私は恋愛の意味で木葉さんが好きだから、こんなにも熱くなるんだろうか。
考えれば考える程に顔まで熱を持ってきて、頭を混乱させている内に最寄り駅に着いた。
きっと顔が赤くなってしまっている。
このまま外にはいたくない。
出来る限りの早足で、家まで急いで帰った。