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第18章 オトモダチ、から


‐木葉side‐

え、ちょっと、意味が…。
友達として、なんて常套句だろ。
俺、フラれたんだよな?
それで、期待させたいって何?
俺、キープされてんの?

軽く、パニクって上手く働かねぇ脳ミソで、彼女の決意の言葉を受け止めた。

コイツ、ちゃんと思ってる事とか、喋れるようになったんだな、なんて感慨深くなんのはイカれてる証拠。

何も返せないでいる俺から離れて、改札口を抜けた彼女が振り返る。

「木葉さん、昔は貴方が会いに来てくれるのを、今は貴方の電話を、少しだけ期待して待ってるんですよ。
木葉さんのお話を聞いてる時間、結構好きです。また、お話して下さい。」

俺に届くように、彼女にしては大きな声で精一杯頑張って伝えてくれてる。

そんなお前に返してやれるのは…。

「おー。また連絡するわ。…熊野。」

お前の気持ちを汲んで、友達の呼び方に戻した言葉と、心からの笑顔。

俺を、待ってくれてる。
俺が一方的に話してるだけでも、その時間を好きだと言ってくれる。

それを、伝える為に慣れないだろう事をしてくれた。

それが嬉しかったから作り笑顔じゃねぇよ。
だから安心して、アイツ等んトコに帰ってくれ。

「はい、また。」

小さく頭を下げて、駅のホームへと消える背中を見送りながら思う。

キープくんで良い、次点で良い。
熊野が、俺を想ってくれる時間があるなら。
俺との時間も、望んでくれんなら。

そんな事を考えた頭は、完全にイカれてんのが分かった。
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