第18章 オトモダチ、から
隣では早速飲み始めている木葉さん。
こっちの緊張なんてお構い無しのようだ。
「…飲まねーの?」
「飲んだら、料理出来なくなります。」
その言葉を言ったと同時に、ピタリ、と効果音が付きそうなくらい分かりやすく木葉さんは固まった。
何回かの瞬きの後、盛大な溜め息を吐いて缶を床に置き、肩に腕が回って引き寄せられる。
「りら、さ。ソレ、家に連れ込む口実とか、思わねーワケ?」
耳元で喋る声。
吐息が擽ったくて首を竦めた。
オトモダチ‘から’って言葉は進展を求める意味があった事は分かっていた。
だけど、こんなにも早く答えを求められるとは思ってなかった。
顔を木葉さんの方に向ける。
いつものような笑顔はなくて、少しの焦りさえ感じた。
真剣な顔で、眼で、ただ私の答えを待っている。
きっと、皆は私が本当に木葉さんを恋愛の意味で好きならば、何をしても怒りはしない。
けど、まだ自分の気持ちも分からない現状でソレをして帰ったら、軽蔑される。
やっぱり、お前はそういう女だったんだ、って。
私は、皆に嫌われる事が何よりも辛いと思った。