第18章 オトモダチ、から
部屋にお邪魔して、中をざっと見回す。
玄関からすぐの場所にキッチンがあって、その奥に一部屋。
キッチンと反対側に磨りガラスの戸があるから、そっちはお風呂だろう。
都内で一人暮らしならこれくらいが家賃的にも広さ的にも妥当な感じだ。
「あんま見ても面白いモンねーよ?」
冷蔵庫に買ってきた物をしまって、代わりに缶チューハイを出した木葉さんは、私の手を引いて奥の部屋に入る。
いや、時間的にまだ昼なんだけど。
そりゃ、すぐに料理する訳じゃないけど飲んでたら出来なくなるじゃないか。
なんて突っ込みは飲み込んだ。
部屋に置いてある、当たり前の物が気になりすぎて何も言えなくなった。
部屋として使えるのは一部屋しかないのなら、食事をとるのも寝るのも同じ部屋な訳で。
予想は出来たけど、実際に見てしまうと生々しく感じる。
奥の部屋には、テレビとガラスのローテーブル、端には大きめのベッド。
そういう目的じゃないと思っても、デートの後にベッドのある部屋で二人きり、なんて意識してしまう。
ソレを想像してしまうのは、私が期待しているからなんだろうか。
それとも、恐怖からなんだろうか。
どちらかは分からないまま、取り合えず促されてベッドを背凭れにして座った。