第18章 オトモダチ、から
一応程度に戻らなくて大丈夫かを聞いてみる。
レクリエーションには参加しなかったけど、朝の集合の時に上司やら本社の人やらに挨拶は出来たから良い、としたらしい。
デートに了承したのが余程嬉しいのか、細い目を更に細くして笑った。
普通にレストランでランチして、少しの雑談。
内容は共通の知り合いである私の同居人の事だったり、木葉さんの仕事の事だったり。
殆どは木葉さんが話していて、私は相槌を打つだけの昔と変わらない関係。
ただ、非常階段と違って横並びに座っている訳じゃないから、顔は向かい合っていて表情がよく見える。
木兎さんとか、赤葦さんの事を話す時は楽しそうに笑って。
仕事のミスとか、変なお客さんの対応とか、そんな話の時は不貞腐れて。
表情が無い私にはとても羨ましい事だった。
ある程度の時間が経ってレストランから出ると、二人で買い物をして、木葉さんのマンションに向かった。
レストランでの話の中で、私の料理が恋しいと言われたからだ。
同居してる皆が羨ましい、と。
まぁ、上手く乗せられたような気がしないでもない。
それくらいの事で一人暮らしの男の家にノコノコついていく私はやっぱりどこかおかしいんだろう、と自嘲した。