第2章 明くる日
そちらはそちらで、寝起きが悪い人達に苦戦しているようだった。
「…木兎さん。起きて下さい。」
「ツッキー、起きろー。」
月島さんなんかは血圧も低そうだったから分かるけど、木兎さんも朝に弱いなんて意外。
まぁ、あと五分ーとか言いながら起きてこないタイプではありそうだったけど。
「木兎さん、朝ごはんに焼肉弁当買ってきますから起きて下さい。」
「…え!?」
木兎さんが起き上がる。
なんか、さっき自分がやっていたようなやり取りだ。
「さっさと顔洗って…。待って下さい。」
朝の指示でもしようとした赤葦さんの声が止まった。
そのまま立ち上がり、私の方に向かってくる。
「口紅、貸して貰える?」
理由はすぐに判明した。
先程使ってポケットの中に入れていたそれを出して渡す。
「どうぞ。…後、コンビニ行きますから、焼肉弁当ついでに買ってきましょうか?」
聞いてたの、とでも言いたげな苦い顔をされた。
「…悪いけど、お願い出来る?出来れば俺にも何か軽いもの。」
少しの迷うような間の後の返答。
頷いて了解をした。
「あ、俺もなんでも良いから弁当ー。魚入ってるヤツな。フライじゃなくて焼き魚。」
「「それ、なんでも良いって言いませんよ。」」
私達の会話を聞いていた黒尾さんがこちらを向いている。
なんだか矛盾を感じる発言に突っ込みを入れると、また赤葦さんと言葉が被るオチ。
突っ込み系の波長は合うようだ。
黒尾さんにからかわれる前に買い物へと出掛けた。