第18章 オトモダチ、から
待ち合わせ場所の駅に着くと、すでに木葉さんは来ている。
私に気付いて笑顔で手招きしていた。
「すみません。お待たせしました。」
「ハイ、敬語ー。」
傍まで行くと、いきなりの突っ込みと共に頬を軽く摘まれる。
「ごめん、秋紀。」
「それでよろしい。」
何が不満かは分かっているので、言葉を直して言うとすぐに手は離れた。
言葉遣いには満足したようだけど、何か気になるようで木葉さんは足元に目を向ける。
同じように下を見てから、顔を元の位置に戻して、やっと気付いた。
多少のお洒落をした上にヒールのある靴を履いた私は木葉さんと身長が変わらなくなってしまっている。
「りら、今更だけど身長は?」
「170…くらい。」
「もっとあるだろ。」
「前に計った時は173。」
普段、周りにいる人間が高身長ばかりの所為で、自分も充分高身長だという事を忘れていた事を後悔した。
「なんか、ごめん。」
「…謝られると逆にキツいからヤメテ。」
木葉さんだって、決して小さい訳じゃない。
寧ろ、180近くはあるんだから大きい方な訳で、これはショックだっただろうな。
次があるかは分からないけど、今度からは気を付けよう。
並ぶと気になるだろうから、一歩分程の間を空けて後ろを歩く。
それはそれで気に食わないようで、手を掴まれて横に並ばされた。
指先を絡めて握る繋ぎ方は所謂、恋人繋ぎというやつで。
今日は彼女のフリするんだから良いだろ、とか言われそうで振り払えなかった。