第18章 オトモダチ、から
それでも、この人の頼みを断るなんて出来ない。
「…別に。」
『なら、明後日はヨロシク。えっと…りら。』
「…宜しくお願いします、木葉さん。」
『ソコは名前で呼べよ。よそよそしいとバレる。…敬語もナシ、な?』
「…はぁ。」
私から敬語を外すと、非常に性格が悪くて冷たくなるのを知らないのだろうか。
言っても押し切られてしまいそうで無駄だから言わないでおいた。
『ハイ、じゃあ練習ーってコトで今日は普通に話してくれよ?』
「…はぁ。」
『さっきからソレばっか。秋紀って呼んでみ?』
「……秋紀、さん。」
ここまできて嫌だと言える訳もなく、聞こえるか分からない程に小さな声で名前を呼んだ。
『呼び捨て。ハイ、やり直し。』
「…秋紀、面倒臭い人だったんだね。」
『面倒、ってオイ。…りらは思ったよりキツい性格だったな。』
「嫌なら他の人に頼んで下さい。」
『ほら、敬語もナシだっての。』
敬語であろうが可愛いげのない私の口は、素になると倍増しで可愛くない。
やっぱり他の人に頼んで貰おうとしたけど、その部分はスルーする方向性のようだ。
諦め半分に素で話すようにして、明後日の待ち合わせ等を決め、この日の電話は終了になった。