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第17章 小旅行


‐きとりside‐

りらが、ツッキーの事を恋愛の意味で好きな訳じゃないのは分かっている。
だったら、いつも通り賭けさせてくれても良いじゃない?
どんな理由で、ツッキーにしたかは分からないけど、オアソビさせてくれなかったんだから、多少からかうくらい許されるよね。

「付き合ってる、なら手ぐらい繋いだら?ほら、ツッキー、リードしてあげないと。」
「もう帰るだけなのに、今からする必要がない。」

旅館から出て帰り道を歩く中、ツッキーとりらの手を掴んで無理矢理繋がせようとする。
2人は手を握り締め、繋げないようにしてた。
触れ合わせても、どちらも手は開かず、拳同士をぶつけあっているだけだ。
手を繋がせるのは諦めて2人を解放する。
でも、満足した訳じゃない。

帰りの電車、横並びに座る席。
2人を隣に座らせてみた。

何か、面白い会話でもしないかと思ったけど、2人ともずっと無言だ。
考えてみれば、雑談とかの無駄話をするタイプじゃなかった。

思った以上に静かで、またからかいの声を掛けてやろうとりらの顔を覗く。

「…寝て、る?」

りらは目を閉じて、頭を揺らしている。

しーっ、と喋るのを制止するような音が聞こえて、その元に視線を向けた。
ツッキーが、唇の前に指を一本立てている。
起こすな、って言ってるんだろうな。

でも、もう到着してしまう。

あ、そうだ。

「ツッキー、今日は彼氏なんだから、ちゃんと連れて帰って来てね。」

思い付きを口にして、他の奴等の方に行く。
その話をしたら、赤葦以外はノってくれた。

駅に着く。
降りられなくなるのは流石に可哀想だから、木兎に抱えさせたけど、そこからはツッキーの仕事。

りらをベンチに置き去りにして、未だに渋る赤葦を引き摺り、4人で先に帰った。
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