第17章 小旅行
昨日、飲み散らかした片付けをして帰る準備をする。
着替えは、結局こんな時間から開いている店もないだろうと思って、諦めて昨日の物を着直した。
「朝食だけど、別のトコで食べようか。りら、嫌でしょ?」
「えー。なんでだよー!俺、腹減ったー!」
「…別に平気。」
きとりちゃんの私に対する気遣いは、理由も知らない木兎さんの不満を引き出す。
食べ物に執着が強い木兎さんを説得するのは時間の無駄だ。
私が大丈夫なら行くだろうと声を掛けた。
本当に平気なのか、木兎さん以外から確認されたけど、皆と一緒なら大丈夫だと思える。
「…月島くん。」
「…何?」
「隣に、いて。出来れば、彼氏のフリ…して。」
昨日、一人であの男と接触した時の事を思い出して頼んだ。
背が高い人が好き。
それなら、この人達は好みのタイプだと分かるだろう。
だからって、皆と仲良くしていたら、あの男の言う‘男をはべらせている’訳で。
特定の人がいる、その状態にしておきたかった。