第17章 小旅行
翌朝、目が覚めるとすぐ前に赤葦さんの眠っている顔。
どうやら、自らの寝返りによって向かい合わせになってしまったらしい。
いつの間にか、腕枕はされているし、腰にもう片方の腕が回っているし、ヤっちゃった感がハンパない。
浴衣だから、はだけないように気を付けて腕から抜け出そうともがく。
動くと、何故か固く結んでいた筈の帯が解けた。
よく見ると、腰に回っていた方の手が帯の端を掴んでいる。
やっぱり、ムッツリスケベだ、この人。
起こさないように慎重に手を離させようと指を掴んだ。
「…りら、見えるよ。」
手元に集中している内に、起きてしまったようだ。
まだ見えてないけど、最悪だ。
「だったら、離して下さい。このままじゃ、本当に脱げます。」
「…脱がせてあげようか。」
「ムッツリどころか、オープンスケベな発言を有難う御座います。見ても何の得にもならないので、いい加減にして下さい。」
掴んでいた指を本来ならば曲がらない方向へ引っ張る。
流石に痛かったのか手は離れて、やっと布団から抜け出す事が出来た。
周りを見回すと、まだ他の人は起きていない。
赤葦さんもまだ眠そうだから放って、寝室から出た。
起きていても、自宅じゃないから食事の準備もないし、退屈だ。
浴衣のまま、外に出る勇気もない。
ただ、ぼーっとしながら過ごして、皆が起きてくるのを待った。
「…おー。相変わらず早ぇな。はよ。」
「お早う御座います。」
私の後、すぐに出てきたのは黒尾さん。
その後、一時間もしない内に皆起きてきた。