第17章 小旅行
そこで始まるのは、最早恒例、私の隣争奪戦。
いや、だから何の得にもならない上に眠いのによくやるな。
どうせ言っても止めないし、相変わらず我関せずな月島くんと勝負の行方を眺めた。
「月島くんは、こういう勝負やらないよね。」
「興味ナイし。」
「他の皆さんも、同じくらい私に対して無関心になって貰いたい。」
「…僕、りらに対して無関心とは言ってないケド。」
「じゃ、何に興味が無いの。」
「勝負で勝って、りらの隣にいれたとしても、それはりらの意思じゃないデショ。」
何となくで会話をしていると、嬉しい言葉。
私の意思を尊重してくれる考え方に感動すらした。
他の人が、私の了解も得ずに賭け事の賞品にしてくれるお陰で、この辺も感覚がおかしくなっている気がする。
今回の勝負はあっち向いてホイ。
話を止めて、騒いでいる人達を見るともう決勝のようだ。
珍しく、赤葦さんが残っている。
相手は木兎さん。
このゲーム、少し心理戦みたいな部分もあるから、赤葦さんが有利かな。
思った通り、僅かに掛け声を遅らせるという作戦勝ちで、赤葦さんが勝利した。
「りら、おいで。」
前にも言っていたけど、赤葦さんは寝る時に裸族になるようで。
上半身は裸の状態で布団に入り、私を手招きしてきた。
一緒に寝るとは言っていないので、それは無視して隣の布団に入る。
「赤葦が勝つなんて、滅多にないんだから、一緒に寝てあげれば?」
また悪ノりを始めたきとりちゃん。
この人がこうなると、年上組はノっちゃって茶々入れるだろうし、拒否しようが結果は同じ。
「…千切られたくなかったら、変な所は触らないで下さいね。」
しつこくされない内に赤葦さんの布団に入り、背中を向けて一言脅しを添える。
横になってしまうと、耐えていた眠気が急激に襲ってきて、数分もしない内に夢の中へ旅立った。