第17章 小旅行
襖を持ったままの木兎さんに、外れて空いている部分を指差して示す。
「木兎さん、申し訳ないんですが、襖を直して貰えますか?」
「おぅ!」
元気の良い返事があって、襖を溝に入れる作業を始めた。
「あかーし、これ、どうやんの?」
結局、やり方が分からなかったのか赤葦さんが手伝う羽目になっている。
まぁ、外した本人だから仕方ないけど。
数分して、襖を元に戻すと二人もこちらにやってきた。
「直ったぜー。」
見れば分かる報告をして、木兎さんが私の肩を押す。
座れ、という事だろうと素直に従って腰を下ろすと、同じように隣に座らされた赤葦さん。
嫌な予感しかしなかった。
赤葦さんと並べられ、四人から交互に顔を眺められている。
多分、聞かれるのはさっきの寝室での会話。
演技だったのだと先に言ってしまおうか。
「…赤葦さん。さっきのって意味ありましたか。付き合ってるフリしたの。」
「あぁ、あれ。…この人達、無駄に運動神経と反射神経が良いから気を逸らさないと襖を蹴ったくらいじゃ当たらないと思ったから。」
「…成程。」
何か質問をされる前に二人で話す事によって、皆の疑問は解消されたようだ。
安堵にも似たような息を吐いて、私達を見るのを止めた。
夜もかなり遅い時間で、酒も抜けきらない面々はそろそろ本当に眠いようで、興味が削がれた事で欠伸をしたり瞬きが多くなっている。
誰が言い始めたでもなく、寝室の方に皆で移動した。