• テキストサイズ

【HQ】sharing.

第17章 小旅行


襖の下で四人がもがいている。
その様子を眺めて息を吐いた。

「赤葦さん、止めて下さい。」
「りらちゃん助けてくれんのか?マジ天使!」
「襖が壊れるので、痛め付けるなら退けてからにして下さい。」

喜んでいる木兎さんを無視して要点を伝えた。
別に、皆が悪いんだから暴力を止める気はない。
ただ、内装を壊すのは色々と面倒が降り掛かるから嫌なだけだ。

「確かに。」

納得した赤葦さんが、襖から足を退ける。
その瞬間を狙ったのか、押さえ付けられていた誰かが襖を蹴り返した。
側にいた赤葦さんは、飛んできた襖を避ける。

動体視力も反射神経もいいのか、羨ましい。
あ、でも赤葦さんが避けた事で…。

そこまで考えた時、視界が真っ暗になった。
重みと衝撃で、後ろに受け身も取れないまま倒れる。
敷いてあった布団が、頭を守ってくれたのが唯一の救い。
腰やお尻は思い切り畳みに叩き付けられたけど、大怪我はせずに済んだ。

「クロ!りらに怪我させたらどうすんの!」
「女性の顔に傷でも作ったら、どう責任取るつもりですかぁ?」

話の内容で分かったのは襖を蹴ったのは黒尾さんだという事。
そんな会話する前にこれを退けて頂きたいものだ。

何とか自力で襖から抜け出そうとすると、突然重みが消えた。
退かされた襖の方を見ると、木兎さん。

「りらちゃん、大丈夫かー?」
「はい、なんとか。」
「怪我してない?痛い所はない?」

襖が当たった額を押さえながら起き上がる。
心配そうに顔を眺めてくる相手は赤葦さんだ。
大丈夫、と首を振って立ち上がった。
きとりちゃんと月島くんに攻撃(口撃)されている黒尾さんに近寄る。

「黒尾さん、何か言う事は?」
「…サーセンっした!」
「宜しい。」

笑顔もなく、立ったまま見下ろして威圧すると、すぐに謝罪の言葉。
それで許す事にして、外れた襖の方を振り返った。
/ 577ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp