第17章 小旅行
結局、押し切られて、きとりちゃんと一緒にお風呂に入る事になった。
男性諸君は、期待するだろう。
『胸おっきー、さわらせてー。』
『やーん。えっちー。』
的な、女の会話を。
ただ、現実は甘くなく。
「アンタ、何食べたらそんな胸成長すんの?」
「普通の食事。」
「体質なのかね。羨ましいわ。」
「触る?」
「…少しは恥じらいなさいよ。」
「減らないし。」
「じゃ、触るわ。」
この場所にいるのは、羞恥心が皆無な女と、それを触るエロ親父と化した酔っ払いである。
私の胸に触った後、自分の胸を触り、更に下に手を滑らせて腹の肉を摘まんでいた。
「この肉が、少し上にくれば…。」
そんな事を言う程、きとりちゃんの腹は出てない。
足しても、微々たる量だ。
そんな、色気がない会話をしながら風呂を済ませた。
風呂から上がって思い出したのは、着替えがない事。
どうしようか迷っていると、肩から浴衣を掛けられた。
「取り合えず、コレ着とけば?明日、朝イチで下着と服買ってきてあげるから。」
「…浴衣のみ着ろと?」
「浴衣の時って下着とかいらないでしょ。」
「下は履きたい。けど、脱いだヤツ履くのはもっと嫌。」
結局、諦めて浴衣を羽織った。
帯を少し強く締めて胸元が見えないようにする。
部屋に戻ると、皆はまだ飲んでいた。
足音が聞こえたのか一斉にこちらを振り返る。
「おぉ!りらちゃん、色っぽいな。」
「ちょっと木兎、私に感想はないのかしら?」
「センパイ、色気はゼロだろ。」
「…黒尾さん、いくら事実でも言って良い事と悪い事があると思いマス。しかもアレと関係シてたんデショ。」
「アンタ等、三人とも並んで正座!」
女二人の浴衣姿に反応をしてくれるのは良いけど、見事に対応を分けてくれた所為できとりちゃんがキレて、説教タイムが始まった。