第17章 小旅行
説教から解放されて、他の皆も楽な姿勢をとる。
だけど、空気はどこか緊張していた。
理由は多分、私ときとりちゃんが喧嘩でも始めそうなくらい不機嫌だから。
面倒だし、周りを巻き込んだり心配掛けるのも悪いから自分からは仕掛けるつもりもない。
その空気から逃れたくて立ち上がったけど、先程まで正座をしていた所為で足が痺れている。
当たり前のようにフラついて、目の前のきとりちゃんの方へダイブした。
突然の事だっただろうけど、上手く私を受け止めてくれる。
私の背中に腕を回し、ぽんぽんと優しく叩かれた。
不機嫌だった様子なんて、なかったかのように柔らかく笑っている。
「アンタ、さ。甘えるなら私以外にしなさいね。…私は、傍にいてやれないんだから。」
「別に甘えたくない。」
フラついただけ、と可愛くない事を言って体を離した。
「今は、誰とも一緒にいたくない。」
今度こそ普通に立ち上がり、部屋から出ていく。
何やら制止するような声が聞こえた気がしたけど無視をして、行く宛もなく廊下を歩いた。