第17章 小旅行
嫌なものを見たら目が腐るって比喩的な表現あるじゃない。
まぁ、本気で腐ると思ってはいないだろうけど、そこまで笑う事なの。
「…りら、こっち来い。」
「嫌です。」
「いいから来い。」
会話が終わると黒尾さんに手招きされた。
すぐに断ったけど、拒否する権利は与えられていないようだ。
何でそんなに強引なんだよ。
こういう、突っ走る系は先に寝た二人だけで充分でしょ。
傍にいけば、何かしらされるのは分かったから、意地でも動かない。
後ろは寝室に続く襖。
これ以上は下がれない。
「早くこっちに来いって言ってんだよっ!」
立ち上がると同時にこちらへ一気に寄ってくる黒尾さん。
二人も何で止めてくれないんだ。
逃げようと横に動いた時、真後ろの襖が開いた。
「アンタ達!騒ぎすぎ!他のお客さんに迷惑でしょ!」
寝室の中から出てきたのは、きとりちゃん。
誰の声よりも迷惑を掛けそうな大音量の怒声を発した。
「センパイが一番うるせぇよ。」
同じ事を思ったらしい黒尾さんが突っ込みを入れている。
それが更に怒らせる事になったのか、揃って正座をさせられて説教を受ける羽目になった。