第17章 小旅行
今の話が無かったかのように、三人は普通に話を始めてしまって、その中に入る事も出来ない。
きっと、私に気を遣っている。
暫くは立ったまま、皆を眺めていた。
「りら、此処の露天、景色良いよ。入ってきたら?」
振り返った赤葦さんから、突然の提案。
もう夜も更けていて景色なんか見えそうにない。
泊まりになるとは思っていなかったから、着替えもないし、断るように首を振った。
「誰もりらの裸には興味ないから覗かないデショ。自意識過剰じゃない?」
「こんな汚れた身体、誰が見るの。目が腐るよ。ハナから覗きは心配してない。着替えがないから入らないだけ。」
煽ろうとしているのか、月島くんの人を小馬鹿にしているような笑顔に、少しだけムキになって出た本音。
そこで皆は一瞬だけ固まった。
一拍おいてから、吹き出すように一斉に笑う。
「お前の身体見たら目ぇ腐る、って。俺とか木兎は無事なんだけど?」
「あぁ、黒尾さんは前科アリでしたね。」
「だから、覗いたんじゃねぇって!人を犯罪者みたいに言うな!」
「えー。覗きって犯罪じゃないんですかぁ?」
「あれは事故だっての!」
三人は笑ったままでやり取りをしていて、呆気にとられた。