• テキストサイズ

【HQ】sharing.

第17章 小旅行


必要ない、と人を傷付けた時と変わっていない自分に嫌気がさす。

今は私を見ないで欲しい。
触らないで欲しい。
皆を汚したくないから。

理由を口に出したら否定の言葉を期待するから、声に出せない。
でも、この人達なら期待した通りに動いてくれるかも知れない、なんて甘い考えも浮かんできて、言うかを迷うように口が動いた。

「言いたい事は言え。意地ばっか張ってんじゃねぇぞ。ちゃんと聞いてやるから。」
「りらの口が不器用な事なんて分かりきった事デショ。今更、遠慮したって遅いんじゃない?」

黒尾さんと月島くんが、私の話を促そうとしている。
まだ迷いがあって声を出せないでいると、赤葦さんが動いた。
何故か、寝室の方へと歩いていって中に入ろうとしている。

「…りら、木兎さんには甘えるから起こしてくるよ。」

確かに、裏のない笑顔を向けて馬鹿正直に話す木兎さんには、ある意味では気を許している所はあった。
動物的な勘なのか弱っている人に気付いて力になろうとする部分は尊敬に値するし、それに甘えているのもある。
だからといえ、今の状況でその人を起こす行為はリスクを伴う訳で。
こういった話において、感情的になりやすいきとりちゃんまで起きる可能性は否定出来ない。

赤葦さんを止めようと近くに寄り、顔の前に手を伸ばして行動を制した。

「…触られたく、ないんです。だから、木兎さんがいても同じです。」

やっと喋る事が出来ても、出た言葉は要点だけで。
フォローしようにも、どう理由を言えばいいか分からない。

納得したのか、赤葦さんは元の場所に戻っていった。
/ 577ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp