第16章 一緒に寝よう
何が始まるのだろうかと見ていると月島くんは眉を寄せる。
「りら、早くしてくれない?」
「…え?…あぁ。」
始めは意味が分からなかったけど、すぐに思い出して木兎さんの耳元に口を近付けた。
「木兎さん、エースのスパイク見せて下さい。木兎さんの、カッコいい所見たいです。」
棒読みで言われた通りの事を口にしただけなのに、木兎さんは反応を示す。
ゆっくり立ち上がって何かを待つようにチラチラと周りを見始めた。
「木兎さん!」
赤葦さんの声と共にこちらに来たのはボール…じゃなくて枕。
それを木兎さんは思い切り手の平で打った。
スピードのついた枕はきとりちゃんと黒尾さんの中央に落下、しなかった。
黒尾さんが咄嗟に出した腕でレシーブされて、小さく弾んでから落ちた。
何、この茶番。
枕がボールみたいに跳ねてくれる訳がないのに、何をやろうとしているか分からない。
呆れてしまって、その光景をただ眺めていた。