第16章 一緒に寝よう
角度的に赤葦さんではない、どちらかが投げた枕が月島くんの背中に当たる。
「ツッキー、駄目よ。連れていきたいなら勝ってね。赤葦もりらを賭けて戦ってたんだから。」
いい加減、人を賞品にするのは止めて頂きたいものだ。
投げ返してやろうと枕を拾おうとした時、先にそれを掴んだ手があった。
月島くんが持ち上げた枕はすぐにその手から離れて赤葦さんの方へ弧を描く。
投げ付けた、と言うよりはパスしたようだ。
一方の赤葦さんは手元に来た枕を訝しげに見ている。
「…りら、木兎さんに…。」
月島くんが顔を近付けて耳打ちしてきた。
それを言えって事だろうと思い、しょぼくれ木兎さんの隣にしゃがむ。
「赤葦さん、取り合えず…そちら二人を黙らせません?」
月島くんが、にっこり笑いながら木兎さんが見えるように道を開けた。
その人を示すように視線を向けている。
「あぁ…成程。」
何かに気付いた赤葦さんが頷いていた。