第16章 一緒に寝よう
その後、まぁずっと見ていた私からすると予想通りの展開で。
2対1の枕投げが始まった。
場所的には赤葦さん側にいたけど、この人に連れていかれたら違う意味でヤられる。
心の中で布団側の二人を応援しながら、巻き込まれないように離れて座った。
こんな深夜に近所迷惑だろうと思えるくらいの騒ぎ方で、苦情の心配をしているとどこからか叫び声が聞こえた気がする。
気の所為だろうと無視をして、勝負の成り行きを眺め続けた。
「…ぎゃーーっ!」
今度ははっきりと聞こえる悲鳴。
他の皆にも聞こえたようで、勝負の為に投げ合われていた枕が止まった。
「木兎さんっ!」
声の主に一番始めに気付いたらしい赤葦さんがリビングから出ていこうとする。
だけど、それは出来なかった。
扉を開けた廊下側に月島くんが立っている。
月島くんの足元には木兎さん。
無理矢理連れて来られたのか、疲れている上にしょぼくれている。
「…何をやってても良いですけど、翌日に用事がある人を優先する気遣いすら出来ないんですか?」
月島くんの声は低く、怒りを感じる。
「僕はまた寝るんで。今度は静かにして下さいね。…ほら、りらも行くよ。巻き込まれたくないデショ。」
あまり時間を無駄にしたくないのか、要点だけを話して私に手を差し出してくる。
その手を掴んで立ち上がると、月島くんが目を見開いた。
「何なの、その格好。どうせ、あの人達に無理強いされたんだろうけど。」
正解、と頷いて返すと繋いだままの手を引いて私を連れ出そうとする。
でもそれは、枕によって阻まれた。