第16章 一緒に寝よう
そして床に敷かれた三式の布団。
数、足りなくないか。
言い出した黒尾さんは部屋で寝るつもりなのか。
部屋で寝ていいなら、私が戻りたい。
「客用布団はこれしか無かったから、じゃんけんね。」
何の勝負を始めるつもりだ。
訳も分からないまま輪に加わろうとすると、止められた。
「りらは参加しなくていいの。景品だから。」
「は?」
「布団は三つ、人は四人。一つの布団に二人で寝なきゃ駄目だろ?」
「いや、同意を求められても。それだったら、私は部屋に…。」
「体が一番小さいのはりらだから、一緒に寝る相手を勝負して決めるって事だよ。」
「だから、私は自分のベッドで…。」
三つしかないなら三人で寝ればいい、なんて言っても話は聞いてくれないようだ。
第一、景品扱いされて気分が良い人間がいるのか。
どうやっても止まらない状態に、呆れて諦めた。
じゃんけんの掛け声が聞こえて、喜ぶ声はきとりちゃんのもの。
まぁ、男性と寝ずに済んだだけマシではある。
「寝間着に着替えてきます。どうせ、拒否権はなさそうなので。」
「…あ、ちょっと待って。」
出ていこうとすると、ひき止められて振り返る。
凄く嫌な笑顔のきとりちゃんが、黒尾さんと何か話していた。
「…りら、ちょい待ってろ。」
私の横を通り過ぎて黒尾さんが出ていく。
嫌な予感がした。